ボツリヌス菌
乳児が蜂蜜を摂取すると、乳児ボツリヌス症を発症する。
【乳児ボツリヌス症】
小児科学者の詫摩武人は臨床実験の結果、蜂蜜を与えられた乳幼児には砂糖を与えられた乳幼児と比べて発育がよく、下痢などの疾病の発症率が低下する、赤血球数および血色素量が増加するなど複数の好ましい現象が確認されたと報告している。その他にも蜂蜜が乳幼児の発育の好ましい結果をもたらすという報告が多くされている。
ギリシア神話には、ゼウスやその子ディオニューソスが、蜂蜜と羊の乳を与えられて育つ逸話が登場する。しかしながら、蜂蜜の中には芽胞を形成し活動を休止したボツリヌス菌が含まれている場合がある。この芽胞は、高温高圧による滅菌処理(120℃で4分以上)の加熱で不活性化されるが、蜂蜜においては酵素が変質するのでこの処理は不向きである。
日本の厚生省(当時)の調査によると、およそ5%の蜂蜜からボツリヌス菌の芽胞が発見された。
通常は摂取してもそのまま体外に排出されるが、乳児が摂取すると、芽胞の発芽を妨げる腸内細菌叢が備わっていないため、体内で発芽して毒素を出し、中毒症状「乳児ボツリヌス症」を引き起こし、最悪の場合死亡してしまう。
このため、現在は乳児には絶対に与えてはならない食品の一つとなっている。日本では1987年(昭和62年)に厚生省が「1歳未満の乳児には与えてはならない」通達を出しており、日本国内の販売商品には「1歳未満の乳児には与えないようにしてください」との注意書きがラベルに表記されている。生後1歳以上になると腸内環境が整う時期となるので避ける必要はない。
2017年(平成29年)3月30日、離乳食として与えられた蜂蜜が原因による乳児ボツリヌス症により、生後6か月の男児が死亡した(同年4月7日、東京都庁による発表)。
出典:Wikipedia