【成分】
ハチミツの栄養価の代表値
蜜源植物と採集季節によって変動するが、約72%の糖分と約21%の水分によって構成され、微量の栄養素など(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、有機酸、酵素、色素、香気物質)も含まれる。有効成分が蜂蜜の中で果たす働きについては未解明な点も多い。ビタミン、ミネラル、アミノ酸の多くは花粉に由来する。
蜜100g中の糖分(平均値) フルクトース 50.49% グルコース 41.88% スクロース 1.35%
【糖分】
糖分のほとんどはグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)で、少量のオリゴ糖とスクロース(ショ糖)、さらにデキストリンも含まれる。
スクロースは蜜蜂に採集される花の蜜の主成分であり、巣の中で蜂蜜に転化しなかったものである。標準的な蜂蜜に占めるスクロースやデキストリンの割合はせいぜい1ないし3%まで、5%を超える蜂蜜については分解が十分に進んでいないか、純粋ではない、つまり蜂蜜以外のものが混入していることを疑う必要がある。デキストリンは、人工的に作られたグルコースや水飴に大量に含まれる。ただし甘露蜜は一般にデキストリンが10%前後含まれる。
【ミネラル】
ミネラルの一つである鉄にはタンニンと化学反応を起こして黒くなるという性質がある。そのため、紅茶の中に蜂蜜を入れて黒く変色するかどうかで蜂蜜が純粋かどうかを判別することができるといわれることがある。しかし蜂蜜には金属を溶解させる性質があり、鉄を含む金属製の容器に貯蔵された場合、蜂蜜に溶け込んだ容器の鉄分がタンニンと反応を起こすため、確実な方法とはいえない。
【ビタミン】
ビタミンのうち約9割は活性型で少量の摂取で効果が見込める上、きわめて安定しており、果物と比べ貯蔵中の減少率が非常に少ない。ビタミンの含有量は蜜源植物によって大きく異なり、また脱臭脱色をすると大幅に、場合によってはほとんど全て失われてしまう。
【酵素】
酵素のうちインベルターゼ(転化酵素)は、前述のようにスクロースをグルコースとフルクトースに分解する働きを持ち、ミツバチが採集した花の蜜を蜂蜜に変化させる役割を担う。スクロースの分解が十分に進んでいない蜂蜜を採集した場合、インベルターゼの働きによって貯蔵中に分解が進む。インベルターゼは熱によって機能を失う。そのため、分解が十分に進んでいない蜂蜜を加熱して水分を除去した場合、濃度を見ると標準的な蜂蜜だがショ糖の含有量が不自然に多い製品が出来上がってしまう。
グルコースオキシダーゼは、グルコースから有機酸(グルコン酸)を作り出す。ジアスターゼはデンプンをデキストリンやマルトース(麦芽糖)に分解する働きをもつ。
ドイツやオランダ、スイスの一部ではジアスターゼの含有量が少ない蜂蜜を、人為的な加工がされている可能性があるとして低く評価する傾向がある。しかしジアスターゼの含有量は蜜源植物の種類によって異なる面もあり、さらに長期間貯蔵すると減少する。アメリカの専門家の多くはジアスターゼの含有量に基づく品質の評価に否定的である。
【品質(純粋・加糖・製糖蜂蜜 等について)】
日本において、はちみつ類の表示に関する公正競争規約によって品質が決められている。
・純粋はちみつ:みつばちが植物の花みつを採集し、巣房に貯え熟成した天然の甘味物質。
・精製はちみつ:純粋はちみつから臭い、色等を取り除いたもの。
・加糖はちみつ:純粋はちみつに異性化液糖その他の糖類を加えたものであって、純粋はちみつの含有量が重量百分比で60%以上のもの。
※ 採蜜源の花名:はちみつに採蜜源の花名を表示する場合には、当該はちみつのすべて又は大部分を当該花から採蜜し、その花の特徴を有するものであって、かつ、採蜜国名を表示しなければならない。
※ 採蜜国名表示:原料蜜の全てが国内で採蜜されたものでなければならない。
出典:Wikipedia